ceremony

お別れ会

お別れ会

(門下生からのご報告)

去る2004年3月7日午後2時から、

東京都東大和市桜ヶ丘の「セレモアつくば玉川上水会館」にて

師匠のお別れ会が開催されました。

細かい雪が舞うような寒い日ではありましたが

師匠を慕うたくさんの方々が集まり、

白い花に囲まれた師匠の写真を前に、

心から師匠のご冥福をお祈りいたしました。

<当日の写真>


奥様からのご挨拶

(お別れ会ご挨拶より)


昨年9月12日 56歳を迎えた翌日に入院いたしまして
約5ヶ月半後の2月29日に病院でその生涯を閉じました。
人生80年の今に短か過ぎるようですが、

それも与えられました立派な天命だったと思っております。
若き頃に演奏する度に燃焼されましたエネルギーは
計り知れぬものがございました。


またそこに至るまでに自分の演奏・音楽を作り上げるべく日々の練習の様子は、
昇る朝日や沈む夕日にも関係なく続く限りの集中力で弾き、
少し眠り、少し食べ・・・・

そのさまは凡人の私の目には凄まじい修行のように映りました。
そして演奏会が終わりましても満足できたと安堵することなく
その至らなかった点を究明する練習がまたしばらく続きました。


そして範彦を慕って門を叩いて下さったお弟子さん方への愛情と
レッスンの情熱も例えようのないものでございました。

この半年近くは肺癌の末期症状に身体的に辛い時を過ごしました。
そんな中時折見せる優しい表情と自然に動く右手の指は
私には見えない弦を弾き、
私には聞こえない曲を奏でていたように思えてなりませんでした。

最近読みましたどなたかの詩に

「私のお墓の前で泣かないで下さい
そこには私はいません
・・・・風になって大空を吹きわたっています。
・・・・夜は星になって、あなたを見守り・・・」

といったものがございました。

範彦が大空の風となって
爽やかな風となって
皆さまの周りにいてくれると思っております。

今頃は 故河野賢先生の新作ギターを抱え、
念入りな調弦をして、故久坂晴夫先生のレッスンへ
伺う準備をしているところでしょうか。

渡辺 悦子

<渡辺範彦はこの場所で眠っています>


 

[読売新聞社:2004年03月01日11時59分] 

渡辺範彦氏(わたなべ・のりひこ=ギタリスト)

29日、肺がんで死去。56歳。

お別れ会は7日午後2時、

東京都東大和市桜が丘2の208の1セレモアつくば玉川上水会館。

喪主は妻、悦子さん。

1969年にパリ国際ギター・コンクールで日本人で初めて優勝。

75年にはNHKテレビ「ギターを 弾こう」に出演したほか、

上野学園大などで後進の指導に当たった。